形態用語辞典
同定を行う際、ハチの形態を理解することはとても重要なことです。各種「図鑑」が出ている昆虫では見逃されがちですが、昆虫の体のつくりを理解せずに、正確に種名を調べることは、ハチに限らず多くの昆虫では不可能です。したがって、寄生蜂を調べる上では、形態用語を理解することがイロハのイであるといえます。
ヒメバチ科とコマユバチ科の形態についてはそれぞれ別に解説も作っています。
ここでは、形態用語の解説を中心に、調べる際に役に立つよう、膜翅目、主としてヒメバチ科の形態用語を中心に用語集を作成しました。配列はABC・・・順で、日本語訳がわかった範囲で、日本語の名称をつけています。内容は、順次更新、追加をしてゆく予定です。Wordに貼り付け、検索機能を使用すれば電子辞書代わりに利用もできます。形態用語以外についてはこちらも参照してみてください。
修正すべき箇所がありましたらこちらまでご連絡ください。
形 :形容詞
複 :複数形
(暫):暫定的に用いている訳.適切な訳があった際は訂正する予定です.
A
Abdomen (形:Abdominal) 腹部
主要な体の区分で,外見上10節ないしそれ以下の節から構成される.ヒメバチを含む細腰亜目の蜂では,真の腹部第一背板は前伸腹節(Propodeum)として胸部と融合し,見掛け上の胸部を形成する.その為,細腰亜目の見掛け上の腹部は,真の腹部第二背板以降となる.その為,扱いに混乱が生じやすく,もっぱら見掛け上の胸部を中体節(mesosoma),腹部を後体節(metasoma)として扱う.また,一般によく用いられるT1,T2,T3…およびS1,S2,S3…はそれぞれ後体節の背板,腹板を指し,T2とは後体節第二背板のことである.
Acute 鋭角
鋭く角ばることで,90度以下の角ばり.
Aedeagus 挿入器
Antenna (複:Antennae; 形:Antennal) 触角
一対の感覚器官で,大きく分けて3節からなり,基部方から柄節,梗節,以降の全ての節からなる鞭節にわけられる.
Antennal socket 触角挿入孔
触角が挿入されている孔(同義→Toruli).
Anterior 前方
Apex (複:Apices;形:Apical, Apico-) 先端
Apical 先端方 (→Apex)
Areola (複:Areolae;形:Areolate) 小室
ヒメバチ科において,前伸腹節の中央にある隆起線に囲まれた部屋.
Areolet 鏡胞(きょうほう)
ヒメバチ科の前翅のやや先端方の中央付近にある小さな翅室で,Second submarginal cellのこと.この部分の有無と形態は分類に非常に有用である.
Arolium (複:Arolia) 爪間盤(そうかんばん)
付節の爪の間にある,パッド上の中央葉片
Axilla (複:Axillae;形:Axillar) 三角板
小盾板の側方から前翅の基部にかけてと,後小盾板から後翅の基部にかけて存在する.
B
Basal 基部方 (→Base)
Basal ring 基環
雄の交尾器の基部にある,リング状の節片.
Base (形:Basal, Base-) 基部
そのものの付け根,もっとも根元の方.
Bulla (複:Bullae) (暫)透明域
翅脈の着色されていない領域で,畳まれたり,折れたりする部位によく生じる.
C
Cardo (複:Cardines) 軸節
小腮の基部方の部分.
Carina (複:Carinae;形:Carinate) 隆起線
隆起もしくはせり上がった線.
Cell 翅室
翅において,翅脈で完全ないし部分的に囲まれた領域のこと.
Cenchrus(複:Cenchri)背瘤
広腰亜目の後胸背板前方側方にみられる突起.
Cercus (複:Cerci;形:Cercal) 尾角
一対の感覚器官で,腹部末端節の背板に存在する.
Claw(s) 爪
付節の先端にある一対の爪のこと.厳密には付節ではなく前付節に存在する.
Club こん棒状部
コバチ上科において,触角鞭節先端方の拡大部をこのように称する(基部方の細い部分はFunicleを参照).
Clypeus (形:Clypeal) 頭盾
頭部の一部分で,上唇の上方,顔面の下方に存在する.ヒメバチ科では大抵,頭盾上溝によって背方と側方が定められる.
Compound eye 複眼
Compress(ed) 側圧 (される)
側方から側方へと平らになること(高さ>幅).
Concave(名:Concavity)凹む
体の内側へと凹むこと.
Coxa (複:Coxae) 基節
脚の一番基部方の節.脚の第一節.体と転節の間にある.
Cuspis 指突起
D
Depress(ed) 平圧(される)
頂上から底へ平らにされること(幅>高さ).
Digitus 端指
Dorsal 背方
E
Emarginate 切れ込み
Endodont mandible 内向大腮
先端が接近するか,互いに重なる,内側に向く大腮.
Epicnemial carina 前腹板隆起線
前腹板において,前脚基節の後方に位置する隆起で,中胸前側板の前縁と多少とも平行に走り,前腹板の後縁を示す.
Epicnemium (形:Epicnemial) 前腹板,前側片
後方を前腹板隆起線によって定められる中胸側板の前方部.形態的には中胸前側板の一部(同義→Prepectus).
Epimeron (複:Epimera;形:Epimeral) 後側板
側板溝で分割された側板の溝より後方の部分.
Episternal groove 上腹板線 = mesepisternal groove
Episternum (複:Episterna;形;Episternal) 前側板
側板溝で分割された側板の溝より前方の部分.
Epistomal groove (= Epistomal suture) 頭盾上溝
頭盾と顔面の境界を示す溝.
Epomia (複:Epomiae) (暫)前胸側斜架
ヒメバチ上科において,前胸背板側方に走る斜めの隆起線.
Exodont mandible 外向大腮
先端が互いに接しないで,外方に離れる大腮.
F
Face (形:facial) 顔面 (=頭盾上区 Supraclypeal area)
額(前頭部)と頭盾の間にある部分で,左右の複眼の間に存在する.
Femur (複:Femora;形:Femoral) 腿節
脚の三節目.第二転節と,脛節の間に存在する.
Flagellum (複:Flagella;形:Flagellar) 鞭節(べんせつ)
触角の主要な部分で,梗節以降の全ての節である.複数の鞭節節(Flagellomere)に分割され,その数はしばしば分類において重要である.
Foramen magnum (= Foramen) 後頭孔
頭部と胸部をつなぐ神経や管が通る,頭部にある孔.
Frons 前頭,額
頭頂部と顔面の間にある領域で,厳密には中央単眼前縁から触角挿入穴下縁の間をさす.
Frontal carina (= Frontal line) 額線
触角挿入孔の間にある縦の隆起線.
Funicle (形:Fenicular) 繋節
コバチ上科において,鞭節の基部方の細い部分をこのように称する(先端方の拡大部はClubを参照).
Funiculus
アリ科において,梗節と鞭節をあわせた部分をこのように称する.
G
Galea (複:Galeae) 外葉
小腮の外方先端葉片,基部で蝶咬節と間接する.
Gastrocoelus (複:Gastrocoeli) 腹陥窪
ヒメバチ科において,通常,腹部の第2背板基部方の横に走るくぼみのことで,鏡紋(Thyridium)を含む.Gastrocoelusは窪み自身のことであり,Thyridiumは特殊な表面構造のことである.
Gena (複:Genae;形:Genal) 頬
頬.頭部の側方で,複眼と後頭部の間に存在する.後頭部とは後頭隆起線(ある場合)で区分される.
Glossa (複:Glossae) 中舌
一対の融合した下唇の中央葉片で,下唇前基節と関節する.
Glymma (複:Glymmae) 柄側刻
ヒメバチ科において,腹部第1背板の側面に存在する溝もしくは窪みのことで,気門と基部の間に存在する.ただし,後体節第1節の背板と腹板が融合する際は存在しない.
Groove 溝
節片上にある線状のくぼみ.
H
Hamulus (複:Hamuli) 翅鉤,ハムリ
後翅前縁にある,小さな剛毛状のホックの列.
Head 頭部
主要な体の区分で,口器と触角を伴う.
Humeral plate
前縁脈の基部にある前方節片.
Hypopygium (形:Hypopygial) 尾節
腹部腹板の可視できる末端節.
Hypostomal bridge 下口橋
後頭孔の腹方,口腔の背方に存在する節片化した部位.
Hypostomal carina 下口隆起線
後頭孔から大腮基部に走る隆起線.
J
Jugal lobe 翅垂
L
Labium (形:Labial) 下唇(かしん)
口器の付属肢の一つで,小腮の後ろに存在し,後方中央に存在する口器付属肢である.下唇亜基節,下唇基節,下唇前基節,中舌,側舌,下唇肢からなる.
Labrum (形:Labral) 上唇(じょうしん)
口器の付属肢の一つで,頭盾の下方(もしくは隠れて裏)に存在し,前方中央に存在する
Lacinia (形:Laciniae) 内葉
小腮の内方,先端方の葉片で,蝶咬節と関節する.
Lamina (複:Laminae;形:Laminate) 板部
薄いプレートあるいは葉片状の突起.
Lateral 側方
Laterotergite 側背板
腹部(あるいは後体節)背板の側方部で,しばしば溝や隆起線によって背方部と分割される.ヒメバチ科では,多くの場合,先端方を除いて背板背面部の下に折りたたまれることが多い.
M
Malar space (=Cheek by Townes) マーラースペース(磨縁部)
複眼の縁と大腮基部の最も短い距離.
Mandible (形:Mandibular) 大腮(大顎)
一対の強く節片化した口器付属肢で,上唇と小腮の間に存在する.噛むことに使われる.先端が二裂あるいは三裂し,歯を持つことがある.
Maxilla (複:Maxillae;形:Maxillary) 小腮(小顎)
大腮と下唇の間に存在する一対の付属肢で,軸節,蝶咬節,内葉,小腮肢からなる.
Middle (=Mid-, Median, Medial) 中央の
体あるいは構造の中央あるいは中央線の方向.
Mentum 下唇基節
下唇の節片で,基部方に下唇亜基節,先端方に下唇前基節を伴う(しばしば後者と融合することがあり,その場合境界は不明瞭).
Mesepimeron 中胸後側板
中胸側板の二次的分割の後方部で,側板溝の後方部.大抵小さい.
Mesepisternum 中胸前側板
中胸側板の二次的分割の前方部で,側板溝の前方部.大抵中胸側板の大半を占める.
Meso (=Mes-)
中‐.たとえば,Mesopleuronとは「中(meso)」+「側板(pleuron)」と二つの単語が合わさったものである.
Mesonotum 中胸背板
中胸部の背方部.中胸盾板と小盾板を含む.
Mesopleuron 中胸側板
中胸の側方部.
Mesoscutellum 小盾板
Scutellumを参照.
Mesoscutum 中胸盾板
小盾板を除いた中胸背板.Notauliによって3つに分割され,中央の中葉,側方の側葉からなる.
Mesosoma (複:Mesosomata;形:Mesosomal) 中体節
細腰亜目の見掛け上の胸部で,真の胸部に前伸腹節が融合したもの.
Mesosternum 中胸腹板
中胸の腹方部(しばしば中胸側板とSternaulusで分割される).
Mesothorax 中胸
胸部のうち,前胸と後胸の間の主要な分割部.胸部で一番大きい.中脚を伴う.無翅の種を除き,前翅を伴う.
Meta (=Met-)
後‐.
Metanotum後胸背板
後胸の背方部.後小盾板を伴う.
Metapleuron 後胸側板
後胸の側方部.
Metasoma (複:Metasomata;形:Metasomal) 後体節
細腰亜目の見掛け上の腹部で,真の腹部から前伸腹節を除いたもの.
Metasternum 後胸腹板
後胸の腹方部.
Metathorax 後胸
胸部のうち,中胸の後方の主要な分割部.後脚を伴い.無翅の種を除き,後翅を伴う.
Metepimeron 後胸後側板
後胸側板の二次的分割の後方部.
Metepisternum 後胸前側板
後胸側板の二次的分割の前方部.
Mouthparts 口器
頭部の付属肢で,摂食に用いられる.上唇,下唇,大腮,小腮,下咽頭を含む.
N
Nebulous vein
均一に染色されているが,管状構造を欠く翅脈.
Neck 頸部
Notaulus (複:Notauli) 中胸背縦斜溝
中胸盾板を斜めに走る溝のことで,しばしば中胸盾板を3つの部分に分割する.同義→Notaulix.
Notum (複:Nota;形:Notal) 背板
胸部の背板で,大抵,盾板と小盾板に分割される.
O
Occipital carina 後頭隆起線
後頭と頭頂,頬の境界に存在する隆起線で,まったく欠いたり,背方部だけ欠いたりする.それらの形質状態は分類において重要である.腹方部はしばしばGenal carinaと称されることがある.
Occiput (形:Occipital) 後頭
頭部の後方部位で,後方で頭頂,側方で頬に接するか,間に後頭隆起線がある.
Ocellus (複:Oceli;形:Ocellar) 単眼
膜翅目では通常一つの中央単眼(前単眼)と2つの側(方)単眼(後単眼)からなる.
Oral cavity 口腔
頭部腹方に開口する腔で,口器が存在する.
Orbit 眼縁部
複眼の周囲の領域.しばしば紋を有する.
Ovipositor 産卵管
Ovipositor sheath 鞘,産卵鞘
一対の,産卵管を包んでいる鞘.産卵時や死後は双方が分離する.
P
Palpus (複:Palpi;形:Palpal) 肢(し),ひげ
下唇と小腮に1対ずつ存在する感覚付属肢.ヒメバチ科の多くのグループでは前者が5節,後者が4節である.
Paraglossa (複:Paraglossae) 側舌
一対の,下唇の側方葉片で,基部で下唇前基節と関節する.
Paramere 把握器,交尾鉤(= Gonocoxite)
Pedicel 梗節(こうせつ)
触角の基部方から数えて二番目にある比較的小さな節で,鞭節と柄節の間にある.
Petiolate 有柄
Petiole 腹柄(ふくへい)
後体節,大抵は第1節に存在する,狭く,細長い部位で,前伸腹節と後体節の残りの部位の間に存在する.
Placoid sensillum (複:Placoid sensilla)
伸長した,平たい板状,もしくは丸い葉状,あるいは溝状の感覚器官で,通常鞭節にあるものについて言及される.
Plantar lobe
付節第1-4節の腹方先端から突出している小さな膜状板.
Pleural groove 側板溝
中胸側板にある溝で,後翅の基部から中脚基節の挿入孔の間に走る.前側板と後側板を分割する.同義→Pleural sulcus,Pleural suture.
Pleuron (複:Pleura;形:Pleural) 側板
体節の側方部位で,特に胸部で良く用いられる.
Posterior 後方 (=rear,back)
Postgena (形:Postgenal) 後頬
後頭部の下方部で,後頭隆起線が無い場合は,頬と後頬は連続する.
Postpectal carina
中胸側板の腹方から中胸腹板にむけて走る後方横隆起線で,中脚基節の前方に存在する.
Prementum 下唇前基節
下唇の節片で,基部で前基節と関節し,先端方で中舌,側舌,下唇肢を伴う.
Preocular carina 複眼内縁隆起線
Prepectus → Epinemium
Pretarsus 前付節
脚の先端節で,爪と爪間盤などの関連構造を有する.
Pro- 前の
Proleg 腹脚
Pronotal collar 前胸背襟部,襟首
単にcollar(襟部)ともいう.
Pronotal flange
前胸背板の前方に突出した縁で,しばしば頭部後方に隠れる.
Pronotal lobe
中胸側板の気門を覆う,前胸背板の丸い後側方の拡大部.
Pronotal plate
タマバチ上科における前胸背板背方のディスク状の構造.
Pronotum (形:Pronotal) 前胸背板
前胸の背方節片で,側方,腹方に伸長し,前胸の大部分を占める.
Propleuron (複:Propleura) 前胸側板
前胸の側方節片.
Propodeal carina 前伸腹節の隆起線
前伸腹節に走る隆起線.隆起線ごとに名称がある.
Propodeum (複:Propodea;形:Propodeal) 前伸腹節
細腰亜目のハチにおける真の腹部第1節で,広く胸部と融合し,中体節を形成する.
Prosternum 前胸腹板
前胸の腹方節片で,前胸側板に挟まれた部位.
Prothorax 前胸
Pubscence
体表に存在する,短く,細かく,しばしば密に存在する毛.
Punctate 点刻
細かな穴状の表面構造.
R
Radicle 触角振節
Reticulate
細かく網状に覆われた線による表面構造.
S
Scape 柄節(へいせつ)
触角の最も基部方の節で,最も大きな節.
Sclerite 節片
硬化された節が縫合線や膜で分割された部位.
Sclerotized 節片化
硬化する(大抵着色もされる)こと,通常膜質部と対比されて扱われる.
Scopa (複:Scopae)刷毛
ハナバチ類に見られるブラシ状の剛毛で,花粉を集めるのに使用する.
Scrobe (形:Scrobal)凹溝
付属肢を隠したり,受け入れたりするために存在する溝.
Sculpture 印刻
体表にある印や刻み.点刻や皺など.
Scutellum (複:Scutella;形:Scutellae)小盾板
中胸背板と後胸背板の中央後方に存在する小さな区域で,盾板の後方に存在する.通常,小盾板という際は中胸を指し,後胸の場合は後小盾板と言われる.
Scutum(複:Scuta;形:Scutal)盾板
背板の前方節片で,小盾板の前方にある.三角版は形態的には盾板の一部であるが,分けて扱われる.
Segment 節
Sensillum(複:Sensilla)感覚器
単純な感覚器官.剛毛などか,複合的な感覚器官による構造的なユニットのこと.
Sessile 無柄
Seta(複:Setae;形:Setal)剛毛
Spiracle(形:Spiracular)気門
Sternaulus (複:Sternauli)胸側溝,中胸側線
中胸側板の側腹方を水平に走る溝か隆起線で,前腹板隆起線(Epicnemial carina)の下方部から中脚基節にむけて存在する.
Sternite 腹板
腹板(Sternum)が溝や膜質部で分割されたもの.
Sternum 腹板
体節の腹方節片で,腹板(Sternite)に分割される.
Stigma 縁紋
前翅前縁にある,厚みのある節片化され,暗色に着色された領域.前縁脈の先端に存在する.
Stipes(複:Stipites;形:Stipital)蝶咬節
小腮の主要な節片で,基部でcardoと,先端でgalaeとlaciniaと関節し,側方で小腮肢を伴う.
Sub- 亜
いくぶん,やや.
Submentum 下唇亜基節
下唇の基部節片で,先端でmentumと関節する.
Submetapleural carina
後胸側板の腹方縁にある隆起線で,中脚基節と後脚基節の間に存在する.しばしば前方が拡大し,突出する.
Subocular groove 眼下線
複眼下縁から大腮基部に向けて走る溝.
Suture 縫合線
2つの板か節片(あるいはかつて2つに分割されていたもの)を分割する線や膜質部.溝(Groove)との識別は時に難しく,混同されていることもある.
T
Tarsomere (暫)付節節
付節の各節のこと.
Tarsus (複:Tarsi;形:Tarsal) 付節
脚の5番目の節で,基部方で脛節と付属し,付節節に分割される.
Tegula (複:Tegulae) 肩板
前翅の基部前方,humeral plateの基部方に存在する小さな節片.
Tergite 背板
背板(Tergum)が溝や膜質部で分割されたもの.
Tergum (複:Terga;形:Tergal) 背板
体節の背方節片で,背板(Tergite)に分割される.一般的に後体節(広腰亜目では腹部)に対し用いられる.
Thorax (複:Thoraces;形:Thoracic) 胸部
Thyridium 鏡紋
腹陥窪(Gastrocoelus)を参照.
Tibia (複:Tibiae;形Tibial) 脛節
脚の4番目の節で,腿節と付節の間にある.
Tibial spur 距刺,脛節棘
脛節先端に存在する棘.
Torulus (複:Toruli) 触角挿入孔
触角が挿入されている孔(同義→Antennal socket).
Trochantellus (複: Trochantelli) 第二転節
腿節の基部方に存在する二次的に転節に見える部分.外見的には転節に見え,形態的には腿節である.この部位には小転節の名称があてられていたが,Trochantinに対しても小転節の名称があてられており,混乱を防ぐために小転節の名称は避けるべきである.
Trochanter (複: Trochanters) 転節
脚の2番目の節で,基節と腿節の間に存在するが,しばしば近接する腿節由来の第二転節を含めて転節と称することがある.
Truncate 裁断状
ばっさりと切断したように,四角に切り取られた先端のこと.
Tubular vein
染色された管状の翅脈のこと.
V
Vein (形:Veinal) 翅脈
Volsella (複:Volsellae) 陰具小片
一対の,雄交尾器の中央内部付属肢.
W
Wing 翅