ヤセバチ科 Evaniidae Latreille, 1802

(=ゴキブリヤセバチ科)

Evania sp. (どこにいるでしょう?)
Evania sp. (どこにいるでしょう?)
Evania sp. (琉球産)
Evania sp. (琉球産)
Evania sp. の顔
Evania sp. の顔

 

主な特徴

① 後体節は極めて小さく、中体節の長さに満たない(一見すると後体節が無いように見えることすらある)。

② 産卵管は短い。

③ 脚は一般に長い。

④ 大半の種の体色は黒色。

 

 極めて特徴的な体型を有するヤセバチ上科の代表的な科で、ゴキブリの卵に寄生する。ゴキブリに寄生するため、南方に種が多く、日本本土では種数が少ない。日本からは汎世界種とされるゴキブリヤセバチEvania appendigaster (Linnaeus, 1758)のみが記録されているが、私は本土からは少なくとも別に1種(専門の研究者がいない研究機関では、上記の種に同定されている種には複数種混じっていることが多い)、琉球からは少なくとも2属7種を得ており、日本産の本科の分類は殆ど未整理なのが現状である。

  野外で目撃することは少ないが、ゴキブリが多い場所でイエローパントラップを設置するとしばしばまとまって得られる。

 

 なお、ゴキブリに寄生するハチは本科以外にも様々なグループで生じているので、ゴキブリから出た寄生蜂はすべて本科というわけではないことに注意。

 

日本産既知種のリスト

 

Evania Fabricius, 1775

 appendigaster (Linnaeus, 1758) (Ichneumon) ゴキブリヤセバチ (旧名マルガタヤセバチ)

 

 本種はWatanabe (1934)によって日本から記録されたが、本当に本種と同一の種かはタイプと照合する必要があり、現時点では容易に本種に同定する事は危険である。

 

日本産種に関する主な文献(括弧の日本語タイトルは判りやすいように渡辺がつけたもの)

Watanabe, C. 1934. On Evaniidae and Gasteruptionidae from Japan.  Transactions of Sapporo Natural Historical Society, 13(3): 280-286. (日本産ヤセバチ科とコンボウヤセバチ科について)

Watanabe, C. & H. K. Townes, (1958) Insect of Micronesia Hymenoptera: Eucharidae, Ichneumonidae, Stephanidae, and Evaniidae. Insect of Micronesia, 19(2): 82-87. (マイクロネシアのハチ:アリヤドリコバチ科、ヒメバチ科、ツノヤセバチ科およびヤセバチ科)