Vol. 9 ハバチヤドリヒメバチ亜科Sphinctini族

Tribe Sphinctini, Subfamily Tryphoninae (Family Ichneumonidae)

 本族はハバチヤドリヒメバチ亜科の中でも特異な形態を持つ一群で、イラガに寄生することが知られていますが、稀にしか得られないため、国内での生態は謎に包まれています。本族はSphinctus属のみを含み、国内には2種が分布しています。頭盾前縁は突起を持つ点(図A)、後脚脛節棘は1本である点(図B)、腹柄を持ち、後体節は先端に向けて急激に丸くなる点などで識別できます。

 族への検索表は寄生蜂のリストと写真を参照ください。

 

日本産種の検索表

(Kasparyan, 1992, 1993を基に作成)

1.後体節第2~4背板は黒色で、先端の黄褐色帯は前方中央に黄色の紋を持つ。翅はより曇る。産卵鞘は黒色~黒褐色で、先端に向かい幅は均一(図C, D)。

・・・クロムネハバチヒメバチ Sphinctus nigrithorax Uchida, 1931

-.後体節は黒色で第1、2背板は先端方に黄褐色帯を持つが、第3~4背板は帯を欠き(第3背板に弱く帯が生じることがある)、一様に黒色。先端の帯の前方中央には紋を欠く。翅の曇りは弱い。産卵鞘は黄褐色で、先端に向かい幅が広がる(図E)。

・・・コガタクロムネハバチヒメバチSphinctus vitripennis Kasparyan, 1992

図.Sphinctus各種 ― A, 前方から見た頭部; B, 側方から見た後脚; C, 側方から見た後体節; D, E, 後体節末端部、特に産卵鞘 (A-D, クロムネハバチヒメバチ Sphinctus nigrithorax Uchida, 1931; E, コガタクロムネハバチヒメバチSphinctus vitripennis Kasparyan, 1992 )
図.Sphinctus各種 ― A, 前方から見た頭部; B, 側方から見た後脚; C, 側方から見た後体節; D, E, 後体節末端部、特に産卵鞘 (A-D, クロムネハバチヒメバチ Sphinctus nigrithorax Uchida, 1931; E, コガタクロムネハバチヒメバチSphinctus vitripennis Kasparyan, 1992 )

参考文献

Kasparyan, D. R. (1992) New East Palearctic species of ichneumonid genera, Idiogramma Först., Sphinctus Grav., and Euceros Grav. (Hymenoptera, Ichneumonidae). Entomologicheskoye obozreniye, 71(4): 887-899. [Entomological Review, 72(6): 95-108].

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