ACAENITINAE Förster, 1869

ケンオナガヒメバチ亜科

(=ケンヒメバチ亜科)

モイワケンヒメバチ Arotes moiwanus (Matsumura, 1912) ♀
モイワケンヒメバチ Arotes moiwanus (Matsumura, 1912) ♀
スギハラケンヒメバチ Arotes sugiharai Uchida, 1934 ♀
スギハラケンヒメバチ Arotes sugiharai Uchida, 1934 ♀
タマヌキケンヒメバチ Jezarotes tamanukii Uchida, 1928
タマヌキケンヒメバチ Jezarotes tamanukii Uchida, 1928
ツマグロケンヒメバチ Spilopteron apicale (Matsumura, 1912)  ♀
ツマグロケンヒメバチ Spilopteron apicale (Matsumura, 1912) ♀

他の亜科との区別に用いる形態

中型から大型のヒメバチ。頭盾前縁は先端部の隆起によりしばしば厚みを帯びる。前伸腹節は様々な隆起線を有し、しばしば小室を有する。前脚と中脚の爪は、大抵の属で先端付近に付属歯を1つ持つ(内側に薄く存在することがあり、時に見えにくいが、爪の真裏から見ると見える)。後体節第1節は頑丈~スレンダーで、いくぶん直線的、気門は節の中央または中央より前方に存在する。後体節先端方の3/105/10は側方から圧される。♀の亜生殖板は非常に大きく、側方から見て三角形に鋭く後体節先端の後方へ突き出る。産卵管は後体節の先端を超え、大抵は後体節と同長で、背面先端部に切れ込みは無い。

主な生態

木材に入る鞘翅目昆虫などに寄生し、材置き場や立ち枯れなどでよく見られる。

同定の際の注意

♀は特徴的に発達する亜生殖板により、容易に他の亜科と識別できる。♂は慣れないと区別は難しい(特にColeocentus)。爪の形態、後体節の気門の位置など、複数の形質で総合的に判断する必要がある。

日本産の属までの検索表

(Townes, 1971を基に、一部加筆)

 

1.前翅はほぼ常に鏡胞を有する(異常個体では欠く)。前中脚は付属歯を欠く。産卵管先端の歯は明瞭で、強い。

・・・Coleocentrus

‐.前翅は鏡胞を欠く。前中脚は先端付近に付属歯を1つもつ。産卵管先端の歯は大抵弱く、時に欠く。

・・・2へ

2.中胸盾板は側方から見て、前方に突き出す。体の光沢は強い。

・・・Jezarotes

‐.中胸側板は側方から見て、前方は通常通り後方に向かい斜面を形成するか、ほぼ垂直。体の光沢は様々。

・・・3へ

3.後体節第1節を側方から見て、基部方の隆起部に多くの長い直立毛を有する。後頭隆起線は常に完全。後脚の爪はしばしば付属歯を1つ持つ。

・・・4へ

‐.後体節第1節を側方から見て、基部方の隆起部には長い直立毛を有しない、或いはごく稀にわずかに有する。後頭隆起線は完全あるいは背面部中央で不完全。後脚の爪は決して付属歯を持たない。

・・・8へ

4.後脚の爪は内側に一つ、付属歯を有する。

・・・5へ

‐.後脚の爪は付属歯を有しない。

・・・6へ

5.頭盾は真の先端部に近接した一本の強い横隆起或いは横隆起線を有する。前翅翅脈2rs-m2m-cu とその長さの2/53/5程度先端方に離れる。中胸盾板の中胸背縦斜溝Notauliは中胸盾板の縦幅のおおよそ6割以上後方に伸びる。雌雄の体色はおおよそ同じ。

・・・Arotes

‐.頭盾は真の先端部に近接した一本の強い横隆起或いは横隆起線を有しない。頭盾の先端方2/57/10程度は幾分平らで、先端の厚みは薄い。前翅翅脈2rs-m2m-cuと同じ位置より生じるか、翅脈の幅程度基部方に離れる。中胸盾板の中胸背縦斜溝Notauliは中胸盾板の縦幅のおおよそ8割以上後方に伸び、後方で互いに接近する。雌雄で体色が大きく異なることがある。

・・・Yamatarotes

6.頭盾は真の先端部に近接した横隆起を有しない。頭盾の先端方半分程度は幾分平らで、先端の厚みは薄い。前翅翅脈2rs-mは翅脈2m-cuより若干(長さ程度)先端方に離れる。日本産既知種は体色が黄色地に黒色の模様を有する。南方系の属。

・・・Ishigakia

‐.頭盾は真の先端部に近接した強い横隆起を有し、それにより先端部は叩ききられたような外観を呈する。前翅翅脈2rs-mは翅脈2m-cuと同じ位置より生じるか、若干先端方に離れる。

・・・7へ

7.前伸腹節は明瞭な隆起線を有する。上唇の露出部の長さは幅の0.40.8倍で、比較的長い。前翅翅脈2m-cuの2つの透明域bullaは互いに少し離れる。日本産種の体色は黒色が基本で、種により黄色の紋を有する、あるいは全身赤褐色。

・・・Spilopteron

‐.前伸腹節は明瞭な隆起線を有さず(ぼやけた隆起線を持つことがある)、代わりに強く、不規則な皺を有する。上唇の露出部の長さは幅の0.35倍で、比較的短い。前翅翅脈2m-cuの2つの透明域bullaは互いにとても接近する。日本産既知種の体色は明るい赤褐色。(やや稀)

・・・Metachorischizus

8.後頭隆起線は背面中央部でも完全。前伸腹節の後方横隆起線は中央で無くなり、小室と後方の部屋(Petiolar area)は合流する。少なくとも日本産種では産卵管は一般に普通~長い。

・・・Yezoceryx

‐.後頭隆起線は背面中央部で不完全。前伸腹節の後方横隆起線は中央でも完全で、小室と後方の部屋(Petiolar area)は隆起線によって分けられる。産卵管は一般にやや短い。

・・・Phaenolobus

日本産種のリスト

 

Tribe ACAENITINI Förster, 1869

 

Arotes Gravenhorst, 1829

   Asthenomeris Förster, 1868

   Sphalerus Kriechbaumer, 1878

   Retanisia Cameron, 1886

 moiwanus (Matsumura, 1912) (Phaenolobus) モイワケンヒメバチ

   alboannulatus Uchida, 1928

 sugiharai Uchida, 1934 スギハラケンヒメバチ

  japonicus Ito & Watanabe, 2014

 

Ishigakia Uchida, 1928

 albitarsa Ito & Maeto, 2016

 exetasea Uchida, 1928 イシガキケンヒメバチ

 

Jezarotes Uchida, 1928 

 tamanukii Uchida, 1928 タマヌキケンヒメバチ

   yamatonis Uchida, 1928 ヤマトケンヒメバチ

 

Metachorischizus Uchida, 1928

 unicolor Uchida, 1928 アカトゲケンヒメバチ

 

Phaenolobus Förster, 1869 

   Chorischizus Förster, 1869

   Moldacoenitus Constantineanu & Constantineanu, 1968

 maruyamensis Uchida, 1932 マルヤマケンヒメバチ

 koreanus Uchida, 1932

 

Spilopteron Townes, 1960

 apicale (Matsumura, 1912) (Chorischizus) ツマグロケンヒメバチ

 luteum (Uchida, 1930) (Acoenitus)

 mucronatus Lee, 2008

 pyrrhonae Kusigemati,1981 ヘリウスケンヒメバチ

 tosaense (Uchida, 1934) (Siphimedia) トサケンヒメバチ

   yakushimense (Uchida, 1934) (Siphimedia)

 

Yamatarotes Uchida, 1929

   Pseudarotes Meyer, 1930

   Pararotes Meyer, 1934

 bicolor Uchida, 1929 オスアカケンヒメバチ

 chishimensis (Uchida, 1929) (Pseudarotes) チシマケンヒメバチ

 

Yezoceryx Uchida, 1928

 flavidus Chiu, 1971

 isshikii (Uchida, 1929) (Yamatarotes) イッシキケンヒメバチ

 nigricephalus Sonan, 1936

 rishiriensis (Uchida, 1934) (Siphimedia) リシリケンヒメバチ

 scutellaris Uchida, 1928 マルコブケンヒメバチ

 

Tribe COLEOCENTRINI Clément, 1938

 

Coleocentrus Gravenhorst, 1829

   Macrocoleus Desvignes, 1850

 albitarsus Sheng&Sun, 2010

 chipsanii (Matsumura, 1911) (Lytarmes) 

   exareolatus Kriechbaumer, 1894

 incertus (Ashmead, 1906) (Calliclisis) コンボウケンヒメバチ

   sapporensis (Matsumura, 1911) (Lytarmes)