研究していること


ヒメバチ科を中心とする寄生蜂の仲間の分類学的研究



 ヒメバチ科を中心とする主に中型~大型な寄生蜂の仲間の分類学的な研究を行っています.特にヒメバチ科,中でもアメバチ亜科,コンボウアメバチ亜科を中心に研究を行っています.

 

アメバチ亜科の分類学的研究

 

 アメバチ亜科は薄明薄暮または夜行性であると経験的に推察されており(e.g. Shimizu & Maeto 2016)、灯りによく飛来をすることからヒメバチ科研究者や昆虫専門家のみならず、昆虫や自然の愛好家に広く知られるグループです。全世界から32属1100種以上を含んでおり(e.g. Alvarado 2014; Rousse & Noort 2014; Schwarzfeld & Sperling 2014; Shimizu & Lima 2018),通常は低緯度熱帯地域の雲霧林などにおいて高い多様性を示しますが、中には砂漠棲の種などもおり非常に多様な分類群です.

 ヒメバチ上科に含まれる夜行性とされるハチは,系統関係に依らずアメ色の体色に長い触角や巨大な単眼を持つなど似通った形態を有しており,アメバチ型外見(“ophionoid facies”)と呼ばれています(Townes, 1971; Gauld & Mitchell, 1981).アメバチ型外見の分類群では形態が非常に収斂的であるため、種分類上有用な携帯情報に乏しく,一般に分類が非常に難しく,アメバチ亜科も例外ではありません.

 国内からは現在,7属52種のアメバチ亜科が知られています.しかし,依然として属レベルで日本未記録なものや,国内から知られている種数と同数以上にも及ぶ不明種の存在を私は確認しており,その多様性の解明度は依然として低いままです.私はこのようなアメバチ亜科の多様性の解明のため,形態形質と分子系統学的手法を用いて分類学的研究を行っています.

 

 

アメバチ亜科寄生蜂の夜間および熱帯への適応進化

 

コンボウアメバチ亜科の分類学的研究

 

 コンボウアメバチ亜科は46属700種以上の種を含むヒメバチ科の代表的な一群です(Yu et al., 2012; Shimizu, 2016a, b).この亜科は,①極地を除く全世界に分布し,②鱗翅目幼虫の飼い殺し型単寄生,または鞘翅目幼虫の飼い殺し型単寄生をすることが知られています(Yu et al., 2012).日本にも非常に多くの種が分布しています.しかし詳細な生態などが不明であるため,草地性の一部の種を除くと偶産的な種が非常に多く含まれています.したがって日本産のヒメバチ科の中でも分類学的整理が遅れている分類群の一つと言えます.また,形態的に幅広い変異を有するため,分類が難しい分類群でもあります.

 国内からは現在,10属64種が知られています.しかし,依然として属レベルで日本未記録なものや,国内から知られている種数と同数以上にも及ぶ不明種の存在を私は確認しており,その多様性の解明度は依然として低いままです.私はこのようなコンボウアメバチ亜科の多様性の解明のため,分類学的研究を行っています.

 


各地での寄生蜂のファウナ調査



  国内各地の寄生蜂ファウナの解明を目的とし,調査を行っています.現在は,山形県,新潟県,栃木県,茨城県,長野県でマレーゼトラップを設置し,調査を行っています.

 

新潟県の寄生蜂相

 

 新潟県の寄生蜂相の調査を行っています.新潟県では非常に豊かな環境を有することから,様々な分類群の昆虫の調査が行われてきました.しかし,寄生蜂に関しては他の分類群の昆虫と比較すると解明度が著しく低い状態でした.

 そこで私は新潟県の主に中越地方と上越地方において寄生蜂を採集・同定すると共に,文献調査によって県から既に記録のある種をリストアップし,新潟県産のヒメバチ科目録を作成しました.また,現在はコマユバチ科,ヤセバチ上科の目録も作成しています.

 今後は下越地方や沿岸地域,粟島,佐渡島など,まだ調査を行っていない地域での調査を行い更に新潟県における寄生蜂の多様性を解明していきたいと考えています.