BRACONIDAE Nees, 1811 コマユバチ科 

ウマノオバチ Euurobracon yokahamae (コマユバチ亜科)
ウマノオバチ Euurobracon yokahamae (コマユバチ亜科)

 

主な特徴

 

後体節第2節と第3節は融合する。

前翅は2m-cu脈を欠く。

後翅のr-m脈とRs脈の合流点はSc+RRsの分岐点より基部側に位置する。

大腮は先端が大抵互いに重ならず、せいぜい接する程度。

 

 コマユバチ科は、ヒメバチ上科に含まれる寄生蜂の大きな一群で、日本からは2012年時点で左記の32亜科がカタログ中に記録されています(Yu & Achterberg, 2012)。アブラバチ亜科はしばしば独立した科として扱われることもありますが、系統解析の結果を見たところではコマユバチ科に含めるのが妥当だと考えられることと、上記のカタログでも亜科として扱われていることから、ここではコマユバチ科の亜科として取り扱います。

 コマユバチ科の高次分類によって、しばしば、CyclostomeとNon-Cyclostomeに分類されますが、これらは、下記のような特徴で区別されます。

 

Cyclostome

[形態]上唇は大抵凹み、なめらかで、時折ほとんどがつやをもつ。後翅翅脈m-cuは時折有する。後体節第2背板の気門は大抵中央背板に存在する。後体節は第2,3節の間は可動。後体節は時折第2、3節の間、腹方に曲がる。後翅翅脈1Aは存在し、翅脈cu-aは欠くか、ぼんやりしたものであり、決して節片化せず、翅脈R1r-mの接合部付近に長い感覚毛を有する。

[生態] ほとんどが鱗翅目幼虫と鞘翅目の外部寄生性殺傷型寄生蜂だが、多くの種がハエやアブラムシ、鱗翅目の内部寄生者であり、そのうちの多くは飼い殺し型寄生者である。

[所属する亜科] ハエヤドリコマユバチ亜科、アブラバチ亜科、コマユバチ亜科、オナガコマユバチ亜科、Exothecinae、Hormiinae、Lysterminae、ツヤコマユバチ亜科、カモドキバチ亜科、Pambolinae、Rhysipolinae、Rhyssalinaeなど。

 

Non-Cyclostome

[形態]上唇は凹まず、大抵彫刻され、時折大腮の下に隠れる。後翅翅脈m-cuは大抵欠く。後体節第2背板の気門はほぼ常に側背板に存在する。後体節は第23節の間で曲がらない。

[生態] 全てが内部寄生者で、ほとんどが飼い殺し型寄生者だが、一部で殺傷型寄生者に戻ったものがいる。

[所属する亜科] タテスジコマユバチ亜科、チビコマユバチ亜科、Brachistinae、アシブトコマユバチ亜科、ハラダカコマユバチ亜科、コウラコマユバチ亜科、ハラボソコマユバチ亜科、フチガシラコマユバチ亜科、コンボウコマユバチ亜科、ハバチヤドリコマユバチ亜科、ヒゲナガコマユバチ亜科、サムライコマユバチ亜科、ヒメサムライコマユバチ亜科、ホソバネコマユバチ亜科、キンケコウラコマユバチ亜科、オオアメイロコンボウコマユバチ亜科など。

 

 日本産種のリストはYu & Achterberg (2005, 2012)を基に、一部加筆修正を加えてありますが、コマユバチ科の論文はとても多く、一部しか網羅できていないことを断っておきます。和名は日本産昆虫総目録に従っていますが、シノニムリスト中にあるものは、現在学名は変わってしまっている種です。ちなみにリストは私の便宜上(総目録以降の変更を理解する為)作成したものであり、最新のものではなく、拾い漏れもあると思われるので、参考程度にしていただければ幸いです。また、写真はあくまで同定の際の補助程度に考えていただき、写真と似ているからといって同定することはお止め下さい(実際、相当数の不明種がいます)。形態用語はこちらを参照下さい。

 

なお、コマユバチ科の標本写真の一部は標本の提供と同定およびコメントにおいて前藤薫博士と郡司真広氏にご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

ヒメバチ科とコマユバチ科の簡単な見分け方(大半のグループで識別できる).
ヒメバチ科とコマユバチ科の簡単な見分け方(大半のグループで識別できる).

代表的な文献 → 文献紹介(英文)

 

 一部のグループですが、代表的な文献のリストを載せておきます。

 

Zelinae

→ コンボウコマユバチ亜科

→ ハラボソコマユバチ亜科(Meteorini)

→ Charmontinae

 

Meteorinae   → ハラボソコマユバチ亜科の一部

Neoneutinae → ハラボソコマユバチ亜科の一部

 

フチガシラコマユバチ亜科

→ フチガシラコマユバチ亜科

→ Acampsohelconinae

→ Brachistinae

リストの主な参考文献

 

平嶋義宏監修、九州大学農学部昆虫学教室・日本野生生物研究センター共同編集 (1989). 日本産昆虫総目録. 九州大学農学部昆虫学教室、福岡、1767pp.

 

Yu, D. S., van Achterberg, K., & Horstmann, K. (2005) World Ichneumonoidea 2004., Taxonomy, Biology, Morphology and Distribution. Taxapad [CD-ROM]. Vancouver, Canada.

Yu, D. S., van Achterberg, K., & Horstmann, K. (2012) World Ichneumonoidea 2011., Taxonomy, Biology, Morphology and Distribution. Taxapad [USB Flash Drive]. Vancouver, Canada. 

Belokobylskij, S. A. and K. Maeto (2009). Doryctinae (Hymenoptera: Braconidae) of Japan. Fauna Mundi, 1: 806 pp., 197 figs., 16 photos. Natura optima dux Fundation, Warszawa. (オナガコマユバチ亜科)